これはある姉弟が、注文住宅について雑談していたときの会話記録です(実話がベースになっています)。
これから家づくりを考えている方にとってはショッキングな内容や、厳しい現実も書いてありますが、学びは多いかと思いますので、ぜひご覧ください。
家康くん:数年以内に注文住宅を検討中の32歳の会社員。妻と子(5歳と2歳)の4人暮らし。
家康の姉:2022年に注文住宅で新築を建てた34歳の主婦&パート。夫、子(3歳)の3人暮らし。
2年前に家を建てた姉ちゃんに聞きたいんだけどさ。
最近、注文住宅で家を建てようと考えてるんだけど、タイミング悪いかな?
んー、、、タイミングが悪いって、なんでそう思うの?
電気代も上がってるし、世界的にも物価高になって、家計にも響いてきてるんじゃんか。
なのに給料は上がらないから、まだ家を買うのは待ってた方がいいのかね?
単純にタイミングの話だけで聞いてる?
それとも注文住宅自体をやめとこうか相談してる?
タイミングの話だけ。今は賃貸だけど、賃貸の料金で老後までシミュレーションしたらさ、相当な金額を払うなーと思って。
注文住宅ならローンを支払い終わってからも修繕しながら住めるから、だったら家を建てたほうがいいかなって。
ふーん、そこまで考えてるんだ。
ちなみに家康としては待ってた方がいいって思うの?
ここ最近の世界情勢の激動がなければ、早く家を建てた方が良いと思う。
そもそも賃貸じゃなくて持ち家が良いなと思ったのはさ、万が一、俺にもしものことがあっても家族に住む家を残してあげられるじゃん?
亡くなったら、団信(=団体信用生命保険)で住宅ローンが免除になることを言ってる?
そうそう、姉ちゃんは知ってると思うけど、団信って住宅ローンに含まれてるし、俺に何かあったら住宅ローンの残高がゼロになるじゃん。
中身を知ったら一般的な生命保険よりもすごくオトクだし、年取って持病や健康上の問題で加入できなくなったら、それこそ後悔してもしきれないからな。
じゃあ、急いで建てた方がいいじゃん。
答え持ってるなら相談しないでよ。
いやいや待ってよ。姉ちゃんは2年前に注文住宅で家買ってるじゃん。
だから、実際に建てた人の意見を聞きたいなと思って。今にして振り返ると、どう思うのさ?
そんなの、早くてよかったなと思うに決まってるじゃん。
やめときゃよかったなんて一ミリも思わないよ。これから先、何があるかわかんないけど、そんときそんときで歯を食いしばって乗り越えるしかないんだからさ。それは持ち家でも賃貸でも一緒でしょ?
さすがの強メンタルだな。
てか、家康がぐちぐち悩んで行動してないの聞いてると、イライラすんだよね、正直。
(ぐぬぬ……何も言えない……)
まあ、でも、アンタにアドバイスできるとしたら2つあるよ。
「まずさっさと動け」と言いたいところだけど、家づくりの順番を間違えるなってこと。
家づくりの順番……?
あと、これから近い将来、日本の注文住宅にとって冬の時代が来るかもしれないからね。
家を買うかどうか最終ジャッジするしないはともかくとして、いつでも決断できるように家づくりに必要な情報は早めに多く集めておけってこと。
ちょっと待った。
その2つ、詳しく教えてくれ。
教えて……くれ?
教えてください!(こわっ……)
よろしい。
まず聞きたいんだけど、家づくりの順番に間違いってあるの?
あるよ。私は間違った順番で進めたから、あやうく500万円近く損するところだった。
え、500万円……!?
しかも姉ちゃんがそんな失敗するなんて珍しいな。
いや、誰でも初めてのことは失敗するでしょ。家づくりなんてほとんど初心者なんだから。
私の場合は、順番を間違えていて、契約まであと一歩のところで気づけたからよかったけどね。
ところで、どんな風に間違えてたの?
私の場合、
1.たくさんの工務店やハウスメーカーの展示会に行く
2.土地や間取りのプランをする
3.見積もり(比較)
4.契約
という流れだったのよ。
ん……これってどこがおかしいんだ?
素人ながら、普通の流れだと思うんだけど。
これはインターネットのない時代の流れ。
きつく言えば、情弱のやり方よ。
(本当にきついな……)。
まあ、私も情弱だったのよ。
だって今は、スマホで希望の条件を入力して調べれば、工務店やハウスメーカーの概算見積もりや図面を比較できるんだからさ。
そんな便利なサービスがあるの?
ほら、賃貸でアパートやマンションを借りるときにみんなやるじゃん。スマホで検索して調べるでしょ?
うん、たしかにそう言われたらそうだな。
エリア、広さ、風呂トイレ別とかね。
そう、家づくりもそれと一緒で、注文住宅に置き換えたサービスがあるのよ。
注文住宅は、家づくりの条件の自由度が高いから、そういうサービスはないと思ってたよ。
注文住宅って自由度が高いと思われがちだけど、要望にも規則性があるから、似たような要望なら、どの工務店やメーカーも似たような家づくりの提案が出てくるのよ。
なのに、見積もりを比較すると、メーカーによっては200万円~500万円もコストが違ったりするのよ?
それは使ってる素材や、独自の技術力で変わるもんじゃないの?
その通り。でも、比較しないと、
・なぜ差があるのか?その根拠は?
・高いことでのメリットは?
・安いことでのデメリットは?
ってわからないでしょ。
それはたしかにそうだな。
ってことは、姉ちゃんは、きちんと比較してなかったのが、間違いだったってこと?
いや、私はちゃんと比較してたよ。最初に言ったでしょ。いろんな工務店の展示会には行ってたって。
けど、私の最大のミスは、CMでよく見る大手のハウスメーカーや工務店の展示会にしか行ってなかったこと。
大手で比較するのはダメなの?
大金持ちならハイクラスのメーカーだけで比較すればいいと思うけど、私はもともと、良い物を安く手に入れたい、コスパ主義だから。
たしかに昔からコスパ重視だよな。
でも、家を買うのだけは絶対に失敗できないし、「安かろう悪かろう」になるのが怖かった。
だから知名度で会社を選んで、比較してたの。でもそれは、「隠れ優良会社」みたいなところとは出会えない間違ったやり方だったのよ。
隠れ優良会社か……たしかに俺も知ってる住宅メーカーの展示場しか行かないかも。
ちなみにどれくらい隠れ優良会社を探すのが難しいか教えてあげるわ。
1~3階建ての住宅づくりを手がける住宅メーカー・工務店の数って、日本で何社くらいあるか知ってる?
いや、全然わからん。1000社くらい?
約3万5000社よ。
そんなあるの?!
そうよ。けど、あくまでも日本国内全体の数だから、ひとつの地域で選べる数はそこまで多いわけじゃない。
でも、だからこそ自分から積極的に探さなきゃ「隠れ優良会社」には出会えないのよ。
大事な情報は自分で取りに行かなきゃいけないってことだな。
ちょっと話が逸れたから話を戻すわ。まとめると、正しい家づくりの順番は、賃貸でアパートとマンションを探すのと同じ。
1.インターネットで希望の条件で検索してアタリをつける
2.アタリをつけたハウスメーカーや工務店の見積もりや間取りのサンプルを受け取る
3.気になったところの展示会に行く
4.最終見積もりと商談
5.最終比較する
6.契約
という流れがベストだったのよ。
姉ちゃんは契約直前で、ネットで調べ始めたの?
そう、仮契約する前に、その会社のネットの評判を漁ってるときに気づいたのよ、「このままじゃ後悔するかも」って。
私は、契約直前に上の手順でイチからやり直したことで、大手ハウスメーカーにせず、隠れ優良工務店に決めたわ。おかげで、自分にとっては500万円近く損することを防げたってわけ。
なるほど、そういうことね。
ところで、ネットで探すならどこのサイトがオススメなの?
私もいくつか探したけど、いちばんオススメは「タウンライフ家づくり」よ。
聞いたことないな。CMとかやってないよね?
CMは私も見たことないけど、ブログとかインスタでも紹介されてることは多いから、使ったことがある人には評価が高いよ。
有名なハウスメーカーとも提携してるから怪しいサービスではないわ。たとえば、みんなが知ってる会社でいうと、パナソニックホームズ(パナホーム)とか、積水ハウスとかね。
大手とも提携してるなら信頼できるな。
姉ちゃん的にはどんなところがオススメなの?
さっき言った、
1.インターネットで希望の条件で検索してアタリをつける
2.アタリをつけたハウスメーカーや工務店の見積もりや間取りのサンプルを受け取る
の2つを無料で手厚くやってくれるところよ。
手厚くって、具体的にどこまでやってくれるの?
条件や決まっていることを入力していけば、家づくりの計画書として、
・間取りプラン
・注文住宅費用の見積もり
・土地探し
まで無料で作ってくれる。
へー、無料でそれはいいな。
ちなみにこういうのって利用するとゴリゴリ営業されたりしないの?
しなかったよ。ただ、確認メールと電話が一回ずつきたかな。
イマドキは無理やりな営業してくるところはネットで悪評が広まるから、そこまで心配しなくていいよ。他のサイトはわからないけどね。
オッケーじゃあ、やってみるよ。
家づくり計画書の依頼をする時って、まだ完全に条件が固まってなくてもいいんだっけ?
大丈夫。
もちろん詳細が決まってるに越したことはないけど、まずは無料だし、使ってみることのほうが大事。別に使えるのは初回の1回限りじゃないんだから。
わかった。今日、家に帰ったらやるよ。
はあ?
そんなのんびりしてるなんて舐めてんの?
わ、なんでそんな怒ってんのよ……。
アンタ本当にわかってないのね……。
そしたら教えてあげるわ……このあとすぐにやりたくなるように。
家康にとってめちゃくちゃ不安になることを全部ね……。
【悲報】注文住宅の価格が値上がり続ける不都合な真実
そんな悠長に考えてるけど、家康はいつまでに家を建てる決断しようと思ってるの?
早ければ2年以内には決めたいかな。遅くとも5年以内。
はぁ……。(深いため息)
悪いこと言わないから、注文住宅で家建てるのやめたら?
え、なんでだよ?
一生に一度の買い物なんだからそんなすぐに決めるもんじゃないだろ。
買うことを決めてるんだったら、「前倒しで情報収集する」くらいの姿勢じゃないと、いつまで経っても買わないでしょ。
しかも、これから先、日本の注文住宅は三重苦の冬の時代がくるんだから、待てば待つほど手に入らなくなるし。
冬の時代ってさっきも言ってたけど、それってどういうことなの?
これは私個人の見解にはなるけど、ここ近年のデータをもとにして推測すると、
・物価高による建築資材価格の高騰
・住宅ローンの金利上昇
・住宅の補助金の縮小と撤廃
と、今までは家を買うために好条件だった3つの要因が時間が経つごとに悪化していくわ。
……これが三重苦ってこと?
私はもうすでに家を買ったから他人事だけど、今の家康の立場だったら焦りまくってる話よ。
とりあえず、マジでやばいってことはわかった。
一個一個聞きたいんだけど、まず、建築資材の価格が上がるのってどういう仕組みなの?
これは簡単よ。
今は円安と世界的な物価高のダブルパンチで、特に輸入頼みの建築資材は想像以上に値上がりしてるわ。
うん、それはニュースをロクに見ない俺でもわかる。
ここからは実際のデータの話よ。
国土交通省が公表してる「建設工事費デフレーター(建設工事費の推移)」を見ると、2015年から値上げに歯止めがかかってないことがわかるわ。
これって、2015年度の建設工事費を100%としたときに、2021年度だと110%超だから、10%増しの値上げになってるってこと?
その通りよ。
建築資材の高騰に加えて、人手不足による人件費の増加もあるわね。
人手不足は、いまの少子高齢化の日本で解消される見込みなさそうだもんな。
だから住宅価格は上がり続ける要因こそあっても、下がる要因がないってことか。
次に、住宅ローンの金利が上がるかもしれないって話ね。
日本じゃなくて、世界に目を向けると、アメリカを筆頭に、諸外国がインフレ対策で利上げが実施されてるのは知ってるよね?
ギリギリ…わかる…かも。
無理しなくていいわよ。
日本で住宅ローンに関わる人たちだけのために直近のニュースを簡単に説明すると、
・2022年から世界的な長期金利の上昇が始まる
・2022年12月、日本銀行が長期金利の上限を0.25%→0.5%に引き上げる
・2024年8月の住宅ローン金利(フラット35)が1.85%(一昨年比0.5%)まで上がった
ってことよ。
うん、金利が上がったのはわかった。
けど、現実の住宅ローンに落とし込むと、どんくらい変わるの?
もっと現実的な数字でいうと、仮に毎月の返済額が11万3千円だとして、金利が1.0%アップすると月額で約2万円増えるわ。
■返済額シミュレーション想定
借入希望額:4000万円|返済期間:35年
①適用金利:1%の場合・・・毎月返済額:11.3万円
②適用金利:2%の場合・・・毎月返済額:13.3万円
※返済方法は元利均等、金利引き下げ・ボーナス払いなし
え、今回の2024年8月では一昨年比で0.5%のアップだから、約1万円くらい増えたってこと?
そういうことになるね。それが12ヵ月×30年も続いたら相当な差になるってことよ。
こわー!
でもさ、逆に金利が引き下げられるってことはないの?
引き下げられる可能性はかなり低いわよ。
だってずっと異常な低金利でやってきたし、これ以上に金利を下げたらコスト割れして銀行が立ち行かなくなるからね。
ってことは住宅ローンを組むタイミングも大事になってくるってことだな。
最後、3つ目は「住宅の補助金の縮小と撤廃」の話よ。
もうだんだんと聞けば聞くほど怖くなってきた。
これも事実をもとに話すわ。
2022年に改正された住宅ローン控除の控除率が1%から0.7%に引き下げられたのは知ってる?
ごめん、知らなかった。
2022年に改正ってことは姉ちゃんはギリギリ間に合わなかったってこと?
ううん。私の場合は、ギリギリ契約期限に間に合ってすべり込みセーフ。
仮に控除額が1%のときに、4000万円の家を買って、控除額の合計が400万円だとして。控除率が0.7%に下がると控除額の合計が280万円になっちゃうからね。
これは実質的に値上げされてるのと同じだからね。
実際の金額が大きすぎて、胃が痛くなってきたんだけど……。
ちなみに、これはあなたは間に合わないことが確定してるけどね。
令和6年(2024年1月~2025年12月)に、住宅ローン控除の控除額が大幅に下がったのよ。
これも実質的な値上げと同じよ。
住宅の種類/入居年別の控除上限額 | 2022年-2023年 | 2024年-2025年 |
長期優良住宅・低炭素住宅 | 5000万円 | 4500万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4500万円 | 3500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4000万円 | 3000万円 |
その他 | 3000万円 | 0万円(※1) |
ちょっと待って!
500万円とか1000万円単位で枠が変わるとかヤバイじゃん!
なんで1年前に教えてくれなかったのさ!
だって、あなたも家を買うなんて知らなかったし。だから注文住宅を買うなら、いつでも買える準備ができるように急げって言ってるのよ。
2年後のことを見越すと、今なら省エネ基準以上の住宅だと3000万円以上の控除もあるわけ。しかも、最大100万円が出る補助金(地域型住宅グリーン化事業)もあるわけだけど、こんなのもいつまで続くかわからないからね。
そうなんだ……もっと前倒しで家づくりの情報取集しないとダメだな……。
家づくりの情報収集していれば、こういうチャンスを見つけられるけど、後回しにしてるからチャンスを逃すのよ。
決断するのはじっくりでいいけど、行動するのは早すぎて損はないからまずは動くのよ。
ありがとう!まずは正しい順番で家づくりの情報収集をするところから始める!
姉ちゃんがオススメのサイトって「タウンライフ」だっけ?
(……俺のことをよくわかってらっしゃる)
ということで、姉弟のリアルな会話でした。
これから家づくりを始める方の参考になると嬉しいです。