家中を快適な温度に調節してくれる全館空調システム。
魅力的に感じてはいるものの、一部では「全館空調はやめたほうがいい」と評価する声もあるため、導入を足踏みされている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、全館空調をやめたほうがいい家庭の特徴や、導入して後悔している人のリアルな声を紹介します。
「電気代が高い?」「壊れたらどうなる?」といった、全館空調に関するよくある疑問についても解説するため、導入を悩んでいる人にとって有益な情報が得られるはずです。
ぜひ最後まで読んでいただき、全館空調はやめたほうがいいのかを判断する参考にしてください。
全館空調を導入して後悔する?やめたほうがいい家庭とは

はじめに、全館空調を導入して後悔する可能性が高い家庭の例を紹介します。
- 家族全員の家での生活時間がバラバラ
- 家族で極端に暑がり寒がりの人がいる
- 特別な空調管理が必要な事情がある
なぜ導入をやめたほうがいいのか、理由を詳しく解説します。
家族全員の家での生活時間がバラバラ
家族全員の生活リズムが異なる場合、全館空調の導入はあまりおすすめできません。
在宅する時間が家族全員バラバラだと、無駄な電気代がかかるからです。
例えば、会社に行くAさんと、在宅で仕事をするBさんが住んでいる場合、日中はBさん一人のために全館空調が稼働する形になります。
Bさんが利用しない部屋にも空調が働くため、余計な電気代がかかってしまいます。
生活時間がバラバラの家庭の場合は、必要な部屋だけを快適にできる個別空調の方が合理的でしょう。
家族で極端に暑がり寒がりの人がいる
家全体を一括管理する全館空調は、一人ひとりの好みに合わせた細かな温度調整ができないことも。
そのため、家族で極端に暑がりもしくは寒がりの人がいる場合、「空調が効かない…」と不満を感じる可能性が高いです。
ちなみに、部屋ごとで温度調整が可能なモデルもありますが、極端な調整は難しく、個別エアコンと比較すると柔軟性は低いです。
暑がりや寒がりの人がいる家庭は、全館空調の導入は慎重に考えるべきでしょう。
特別な空調管理が必要な事情がある
事情によって特別な空調管理が必要な場合、全館空調は適さない可能性が高いです。
たとえば、特殊な温度管理が必要になる植物やペットの飼育部屋を設けている家庭などです。
全館空調は、家全体を均一な温度に調整する空調システムであり、部屋ごとで大きな温度差を作ることは基本的にできません。
特定の部屋だけを細かく温度調整したい場合は、他の空調設備を検討したほうが無難です。

全館空調+エアコンにすれば解決なんだろうけど、予算が潤沢にある家庭はすくないよな。

最近の日本だといろんなものが値上がりしてますから、予算をなるべくおさえようと思っている方は多いですよね。

やっぱり住宅関連の価格も値上がりは止まらないんだよね?

そのような予想をする方が大半ですよね。
家づくりの資材の多くは世界各地からの輸入品に頼っているので、円安が加速すると値上げせざるを得ませんからね。
あと、日本国内は慢性的な大工さん不足の影響で、人件費も高くなってるんですよね。

だよなあ。
前にウチの姉ちゃんに家づくりの相談したら「いずれ家を建てるなら情報収集だけでもとにかく急げ!」って、めちゃくちゃ説教されたんだよな(※実話)。


全館空調による電気代が高すぎるからやめたほうがいい?

全館空調を導入するうえで多くの方が気になるのが、電気代。
家中を快適にするうえ、基本的に24時間稼働するとなれば、電気代に不安を感じてしまうのも無理はありません。
参考として、実際に全館空調を利用している人の電気代の事例をいくつか紹介します。
夏と冬の事例を紹介するので、全館空調のリアルな電気代を知りたい方は、ぜひ目を通してみてください。
夏の暑い時期の電気代の実態は?
全館空調における夏の暑い時期の電気代は、15,000~30,000円ほどかかる傾向にあるようです。
総務省が公開するデータによると、7~9月期における二人以上の世帯の電気代平均は、11,984円となっています。
■参考元:総務省 家計調査(2024年度7~9月期)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040221841&fileKind=0
平均値と比較すると、全館空調を導入している世帯の電気代は、少し高いといえます。
なお、利用者の意見では「思ったより電気代はかからなかった」といった声も多く見られました。
近年は、省エネ性に優れた全館空調も販売されているため、想像以上に電気代が安く済んでいる家庭も多いようです。

電気代がそれほどかからないエビデンスがあるなら導入したい人は多そう
冬の寒い時期の電気代の実態は?
全館空調を導入している家庭の口コミを見ると、冬の電気代は17,000~40,000円ほどかかっている模様です。
総務省が調べた統計によると、2024年度における1~3月期の平均電気代は13,265円とされています。
■参考元:総務省 家計調査(2024年度1~3月期)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040179945&fileKind=0
全館空調を導入すると、場合によっては平均の倍以上の電気代がかかる可能性もあるようです。

地域の平均気温や住宅の基本性能によっても電気代は大きく左右されますね。
全館空調で後悔しやすいトラブル例は?

ここからは、全館空調を導入した人が後悔しがちなトラブル例を3つ紹介します。
- 大元が故障すると大変
- カビが発生すると家中の空気が悪くなる
- ゴキブリなど害虫が過ごしやすい
誰もが遭遇する恐れのあるトラブル例なので、導入を検討中の人は事前にチェックしておきましょう。
大元が故障すると大変
全館空調は、大元が故障すると家中の冷暖房機能が停止するデメリットがあります。
一般的なエアコンが故障した場合は、別の部屋に一時的に避難して過ごすといった対処が可能ですが、全館空調だとできません。
家中の温度調整ができなくなるため、万が一厳しい夏・冬の時期に故障したらかなり不便な思いをするでしょう。
また、大元が壊れた場合は修理費も高額になる傾向があり、数十万円以上の出費となるケースも。
状況によっては、修理に数日を要する場合もあり、しばらく冷暖房なしで過ごすこともあります。
総じてトラブルが起きた時に家全体に影響が出る恐れがあります。
カビが発生すると家中の空気が悪くなる
全館空調は、一般的なエアコン設備と同様にカビの発生リスクがあります。
家中にカビのニオイが蔓延するため、全館空調のカビの発生リスクは懸念すべきポイントです。
ダクト内や天井裏など、人の手が届きにくい場所でカビが発生する恐れがあるのも、全館空調の悩ましいところです。
万が一カビが生えると、一般的なエアコンよりも被害が大きくなりやすいため、全館空調に後悔する人も多いようです。

カビのトラブルで困っている人はわりと多いと聞いたことがある…
ゴキブリなど害虫が過ごしやすい
全館空調は、ゴキブリなどの害虫が発生しやすくなるという噂もあります。
前提として、全館空調自体が害虫を引き寄せるわけではありません。
全館空調は外と接続する設備が少なく、むしろ一般的なエアコンより害虫が侵入しにくい作りになっています。
ただし、全館空調は家中を快適な温度にするため、ゴキブリなどの害虫にとっても過ごしやすい環境となります。
もし窓などから害虫が入り込んだ場合、なかなか家から逃げ出さずに住みついてしまう恐れがあるのです。
また全館空調は、スモークタイプの殺虫剤の使用がNGとなっている場合が多く、侵入した害虫の対処が面倒なのもネック。虫が苦手な人は、気になる懸念点といえるでしょう。

害虫が大嫌いなので、駆除が難しくなるのは最大のデメリットかもです…
定期メンテナンスが必要でコストもかかる
全館空調は、定期的なメンテナンスが必要です。
万が一故障すると家中の室温に影響を及ぼすため、メンテナンスの重要性は、一般的な壁掛けエアコンよりも大きいといえます。
メーカーにもよりますが、多くの場合、1ヶ月に1回のフィルター掃除、年1回のシステムメンテナンスが推奨されています。
また悩ましいのが、一般的なエアコンよりもメンテナンス費用が高くなりやすい点。
普及され始めているものの、全館空調を導入する家庭はまだ少ないため、清掃にかかる費用や部品代も高めに設定されている傾向にあります。
依頼する業者にもよりますが、1回のメンテナンスだけで数万円ほどかかるケースも少なくありません。
総じて、エアコンよりもメンテナンスに手間とコストがかかるため、知らずに導入すると後悔する恐れがあります。
全館空調で後悔している声(ブログ編)
全館空調はやめたほうがいいのか判断するために、実際に利用している人の意見を参考にしたいと考えている人も多いでしょう。
以下のブログでは、全館空調で後悔している人のリアルな実体験が掲載されているため、導入を迷っている人は参考にしてください。
- 三井ホームでマイホーム…スマートブリーズワンの体験談
- 貧乏性が住むハイムの家…快適エアリーの体験談
- 家づくりの make a story.…アズビルの体験談
また、SNS上でも全館空調で後悔している人の意見が多数あったため、こちらも併せて紹介します。
「故障が多い」「電気代が高い」など、メンテナンスの手間やコスト面に後悔している人が多い傾向です。
後悔しないよう、これらのリスクも考慮したうえで導入を検討しましょう。
全館空調が壊れたらどうなる?

ここでは、全館空調が壊れたときに起こりえる症状を紹介します。
- 大元が壊れるケース
- 一部の部屋で空調の効きが悪いケース
全館空調を導入すべきなのか、故障時のリスクも把握したうえで検討しましょう。
大元が壊れたケース
全館空調の中央ユニットといった大元が故障した場合、家全体の冷暖房や換気機能が停止します。
大元の修理は自力では難しく、業者に頼まなければ基本的に解消できません。
修理費も数十万円以上になる可能性があり、大元が壊れるとなかなか手痛い出費となります。
なお全館空調の寿命は10年ほどとされており、長期で使い続けると、大元が急に壊れる可能性も高くなります。
メーカーによっては10年間の保証を用意するところもあるため、故障リスクに備えて、長期保証を用意するメーカーで導入することをおすすめします。
一部の部屋で空調の効きが悪いケース
全館空調の故障事例では、一部の部屋でのみ空調の効きが悪くなるケースもあります。
この場合、原因は主に以下のケースが考えられます。
- 吹出口が何かによって塞がれている
- ダクトが詰まっている
- ダクトが破損している
往々にして、定期的なメンテナンスを怠ったせいで起こりがちなトラブルです。
また2階で直射日光が当たりやすい、断熱性が低いなど、部屋の構造が原因で空調の効きが悪くなっている可能性も考えられます。
原因を突き止めるために、業者に一度確認してもらうことをおすすめします。
全館空調を導入しないと後悔する人とは

以下に該当するのであれば、全館空調を導入しないと後悔する可能性が高いです。
- 小さい子ども、高齢者がいる家庭
- 高気密・高断熱の家に住んでいる
導入しないと後悔する理由を詳しく解説するので、当てはまる人はぜひ目を通してみてください。
小さい子ども、高齢者がいる家庭にはおすすめ
全館空調は「ヒートショック」の予防効果が期待できるため、高齢者がいる家庭には特におすすめです。
ヒートショックとは、急な温度変化によって血圧が大きく変動し、心筋梗塞や不整脈、脳梗塞といった健康被害を受けることを指します。
冬場で暖房の効いた部屋から、寒い部屋へ移動した際に起こりうる現象で、特に体温の調節機能が低下している高齢者が発症しやすいとされています。
全館空調を導入すれば家中の温度を一定にできるため、ヒートショックのリスクを軽減可能です。
また、夏場は熱中症の予防効果が期待できるため、気温の変化に敏感な小さい子どもがいる家庭にも、全館空調はおすすめできます。
高気密・高断熱の家にはおすすめ
全館空調は家中の温度を均一に保つ空調システムであり、ヒーターやエアコンなどのような急激な温度変化をすることは基本的にできません。
気密性・断熱性がイマイチな家だと、快適な室温になるまでに時間がかかるうえ、電気代も余計にかかってしまいます。
一方で空気の出入りが少ない高気密・高断熱の家であれば、一年中快適な室温を実現でき、電気代も負担も抑えられるため、導入価値は高いです。
目安としては、断熱等級6以上、気密性はC値0.5以下の住宅に住んでいるなら、全館空調が効果的に働くため、導入をおすすめします。
全館空調で失敗したくない人におすすめのアクション

ここからは、全館空調で失敗しないために、導入前に実施すべきアクションプランを紹介します。
- 複数のハウスメーカーの全館空調を比較検討する
- エアコンなどの冷暖房設備と比較検討する
- 同じ居住エリアで全館空調を導入している家の施主に話を聞く
導入してから「もっと調べておけばよかった…」と後悔しないよう、紹介するアクションプランを実施したうえで検討しましょう。
複数のハウスメーカーの全館空調を比較検討する
全館空調は、各ハウスメーカーによって特徴が異なります。
自身の環境に最適な全館空調を取り入れるためにも、複数のハウスメーカーを比較したうえで導入を検討しましょう。
参考として、全館空調を提供する主要ハウスメーカー8社の全館空調の特徴を以下にまとめました。
メーカー名 | 特徴 | 保証 |
三井ホーム「スマートブリーズ」 | 時間帯ごとで温度、湿度調節可能花粉、ホコリ90%カットフィルター搭載 | 最長10年修理回数無制限 |
パナソニックホームズ「エアロハス」 | 電気代の安さに定評あり花粉対策製品認証を取得 | 最長2年(住宅設備保証) |
ミサワホーム「パラディア」 | 換気、空気清浄、除湿、加湿機能搭載 | 最長10年修理回数無制限 |
アキュラホーム「匠空調」 | フロアごとで温度調整可能空気清浄機能搭載 | 最長10年 |
三菱地所ホーム「エアロテック」 | 花粉、カビ胞子を約97%カット省エネ性能に定評ありフロアごとで温度調整可能 | 最長10年年1回の定期点検 |
住友林業「エアドリームハイブリッド」 | 外気冷房機能搭載フロアごとで温度調整可能 | 最長10年(住宅設備保証) |
へーベルハウス「ロングライフ全館空調」 | 換気、除湿、加湿機能搭載フロアごとで温度調整可能 | 最長10年(住宅設備保証) |
桧家住宅「Z空調」 | 全館空調シェアトップ電気代の安さに定評ありフロアごとで温度調整可能 | 最長10年 |
導入費用は、住宅の規模や部屋数などによって左右されますが、ほとんどのメーカーで150万~300万円程度が相場となっています。
他のハウスメーカーや全館空調の特徴について詳しく知りたい方は、「全館空調でおすすめのハウスメーカーまとめ」が参考になるので、こちらも目を通してみてください。
エアコンなどの冷暖房設備と比較検討する
全館空調の導入を検討するうえでは、エアコンといった冷暖房設備と比較するのが賢明です。
従来の設備と比較して明確にメリットを感じられるのであれば、多少コストをかけても導入する価値は高いでしょう。
参考として、一般的な壁掛けエアコンと全館空調の主な違いを以下にまとめました。
全館空調 | エアコン | |
導入コスト | 150万~300万円 | 1台あたり7万~30万円 |
電気代 | 高くなる可能性がある | 節約しやすい |
温度調整 | 家中を一定の温度に保つ | 部屋ごとで調整ができる |
空調の範囲 | トイレ・廊下・洗面所も対応 | 設置できない箇所がある |
メンテナンス性 | 業者のメンテナンスも必要 | 個人でメンテナンスできる |
デザイン性 | 見えない場所に設置可能 | 本体がむき出し |
空気清浄機能 | 家全体に効果がある | 一部のフロアで効果がある |
故障時のリスク | 家中に影響するうえ修理費も高額 | 対処が比較的しやすい |
快適性に関しては、全館空調の方が圧倒的に高いといえます。
ただしコストがかかる点やメンテナンスが面倒といった懸念点もあり、手軽さや柔軟性を重視する方は、一般的な壁掛けエアコンがおすすめです。
同じ居住エリアで全館空調を導入している家の施主に話を聞く
全館空調の導入を検討するうえで最も参考になるのは、実際に利用している施主の意見です。
どれだけ快適なのか?電気代はどうなのか?不便はないか?など、カタログでは得られない有益な情報が得られます。
全館空調は、住宅の規模や環境によって性能が大きく異なるため、自身の居住エリアや規模が近い施主から話を聞くのが望ましいです。
SNSや地域の掲示板サイトなどを活用し、全館空調に関する情報を発信している施主を探してみましょう。
話を聞いてくれる施主を見つけたら、以下のように質問すべきポイントをまとめておくとスムーズです。
- 月々の電気代の実態
- メンテナンスは面倒ではないか
- 予想外の出費はなかったか
- 導入して後悔していないか
- なぜそのメーカーを選んだか
手間はかかりますが、全館空調の失敗を防ぐうえで非常に有効な手段となるため、積極的に実践することをおすすめします。
まだ家は建てるな!家づくりの順番を間違えて500万円損するところだった話

家づくりの記事を熱心に読んでくれてる人にだけ教えてあげたいことがあってさ。

なんでしょう?

2年前に注文住宅を買ったウチの姉ちゃんが「家づくりの順番を間違えて500万円損するところだった」って言ってたんだよね(※実話です)。

500万円の損失は痛いですね。
平均的な年収で1年働かないと得られない金額ですからね。

たしかに家づくりってトータルで何千万円の買い物だから、実際に「高級車1台分の失敗もある」って聞くと恐ろしくてさ。

逆に言うと、「家づくりの正しい手順」と「家づくりに役立つ制度」の2つさえ押さえておけば、失敗確率はゼロに近づけられますからね。
熱心にこの記事を読んでくださってる方には、家づくりで失敗してほしくないですね。

ウチの姉ちゃんは、契約直前に失敗に気づいてイチからやり直せたからよかったけどさ、気づかなかったら……

一年分の収入を失ってましたよね。


僕もこれから読みますね。

お前、読んでなかったのかよ!
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