「積水ハウスとセキスイハイムの違いって何なの?名前が似すぎていてややこしいんだけど!」
「積水ハウスの住宅ブランドがセキスイハイムだと勘違いしてたけど、違うの?」
読みだけで言うと一文字違いの積水ハウスとセキスイハイムで非常に間違えやすいですが、完全に別の会社です。
今回の記事では、積水ハウスとセキスイハイムの違いや共通点について、基礎的なところから超マニアックなところまで徹底解説します。
積水ハウスとセキスイハイムの違い
積水ハウス・セキスイハイムの住宅性能や企業としての特徴の違いなどを以下の一覧でまとめました。
積水ハウス | セキスイハイム | |
工法(構法) | ・ダイナミックフレームシステム ・フレキシブルβシステム ・シャーウッド工法 | ・ユニット工法 ・ツーバイシックス工法 |
基礎 | 布基礎 | ベタ基礎 |
耐震技術 | 基礎ダイレクトジョイント | ボックスラーメン構造 |
理念 | 幸せの追求 | 地球環境にやさしく |
坪単価の目安 | 55万円~120万円 | 60万円~105万円 |
強み | 総合力が高い デザインスキルが高い 間取りの自由度が高い | 省エネ性能が高い 長く住める 施工期間が短い |
弱み | 突出した点が少ない | 間取りの自由度が低い |
工法の違い

積水ハウスは「ダイナミックフレームシステム/フレキシブルβシステム/シャーウッド工法」、セキスイハイムは「ユニット工法/ツーバイシックス工法」を採用しています。
それぞれの工法の特徴を解説します。
ダイナミックフレームシステム
「ダイナミックフレームシステム」は積水ハウス独自の構造システムです。
工業化住宅として型式適合認定を取得しています。
高い耐震性能と、大空間を可能とする高い設計力を両立させています。
高強度の梁を最大スパン7000mmにすることにより、
- 柱や間仕切りを設けない大空間を実現できる「ダイナミックビーム」
- 余裕のある空間で家族がそれぞれゆったりくつろげる「ファミリースイート」といった1階部分の大空間
- 床レベルを180mmダウンさせた「ピットリビング」
- 小屋吹き抜けの「ダイナミックルーフ」など
2階の多彩な空間設計も可能です。
また、天井高は2270mmも選択できるため、土地の法規制に対応するために建物全体の高さを抑えることもできます。
フレキシブルβシステム
「フレキシブルβシステム」は、積水ハウスの3階建て、4階建て住宅に採用されているオリジナルの構造システムです。
通し柱が不要な設計を可能とする、梁勝ちラーメン構造を採用。
住宅の各階に配置されている柱を⾃由に動かせるため、250mm刻みでのプランニングを可能としました。
吹き抜けのある大きなスローリビング、3階部分のフルフラットバルコニー、勾配天井のある部屋など、都市部の限られたスペースの住宅でも敷地面積を最大限活用した住まいづくりが実現できます。
通風と採光を確保しつつも自由度の高い設計が可能となるため、二世帯住宅や店舗・賃貸併用住宅なども、ライフスタイルに合わせて部屋ごとの自由な間取り設計が可能です。
天井高も2210mm~2600mmの間で3タイプ、さらに屋根もさまざまな種類から選べるため、地域ごとに異なる建造物の高さを制限する法規制への対策にも向いています。
シャーウッド工法
シャーウッド工法とは、積水ハウスの木造住宅に採用されている工法です。
在来工法である木造軸組構法の中で、唯一「性能規定」の運用による「型式認定」を取得しているのが特徴。
集成材を独自の構造用金物で緊結する「メタルジョイント接合システム」と、基礎と柱を直接つないだ「基礎ダイレクトジョイント」により、木造住宅の弱点である接合部の強度不足を補強。
さらに基礎や接合部、壁、床、屋根にもオリジナルの技術を加えることで、高い耐震性能を発揮します。
積水ハウスの実証大実験では、震度7相当の繰り返しの揺れでも、シャーウッド工法の建物・室内には大きな損傷はありませんでした。
耐震性能はもちろん、防火性能、温熱性能、さらに設計の自由度も発揮する工法です。
ユニット工法
「ユニット工法」とは、セキスイハイムの「鉄骨ラーメン構造」をユニットとして構築することで、住まいの80%を工場で仕上げる工法です。
鉄骨ラーメン構造は100mmまたは120mmの角形鋼管の柱と200mmの天井梁、150mmの床梁をスポット溶接やアーク溶接で剛接合し、一体化させた骨組みによって、住宅を支える構造です。
工場内で組み立てることで溶接機器を使った剛接合ができるほか、環境や現場作業に左右されない品質の安定化を維持しています。
また、柱と梁の強度を高めることで室内の構造を支えるための柱を少なくできるため、間取り設計の自由度も向上。
吹き抜けや、壁の少ない開放感あふれる一体空間なども実現できます。
ツーバイシックス工法
「ツーバイシックス工法」とは、木口の厚さが2インチ、幅が6インチの規格の木材である「2×6材」を使用した工法です。
木材が規格化されているため、現場作業者の技術によって品質のばらつきが出にくい特徴があります。
在来工法である木造軸組構造と比較すると、壁、面、天井の6面体で地震や強風による負荷を受け止めるため高い耐久性を誇るとともに、耐火性、気密性、断熱性も高いのが特徴。
さらに2×6材は2×4材と比較すると壁内の寸法が約1.6倍となるため、より厚みのある断熱材を入れることができ、さらに気密性や断熱性を高めています。
基礎の違い

積水ハウスは「布基礎」、セキスイハイムは「ベタ基礎」を採用しています。
それぞれの基礎の違いを解説します。
布基礎
布基礎とは、建物の土台に合わせて切れ目なくフーチング(基礎の底部分を幅広くした構造)をほどこした基礎のことです。
建物の土台と、布基礎は一般的に金物で緊結されています。
積水ハウスでは、立ち上げが760mm、幅160mmの大型基礎を連ねた連続布基礎を採用することで、基礎部分を地中の梁として機能させているのが特徴です。
ベタ基礎
ベタ基礎とは、建物の土台を一面コンクリートで覆った基礎のことです。
建物全体を面で支えることで、地震によるエネルギーを下に逃がし、高い耐震性能を発揮。
さらに液状化による不同沈下や噴砂被害を防ぎます。
積水ハウスのベタ基礎は、建物と基礎を16mmまたは20mmの骨太なアンカーボルトで緊結した強靭な鋼製プレートを、強度の高いコンクリートに埋め込んで一体化することで、アンカーボルト周りの強度も高めているのが特徴です。
耐震技術の違い
積水ハウス、セキスイハイムともに住まいの耐震性能を高めるための耐震技術を採用しています。
積水ハウス、セキスイハイムそれぞれの耐震技術について解説します。
基礎ダイレクトジョイント
積水ハウスでは、木造住宅の耐震性を高めるための「基礎ダイレクトジョイント」を採用しています。
基礎ダイレクトジョイントとは、基礎の上に土台を建てず、基礎と柱とを専用の構造用金物で直接緊結する構法です。
土台があると、土台の固定方法によっては建物の基礎と耐力壁の接合部分が不安定となり、地震による強い力がかかると接合部分の柱が抜けたり、外れたりする可能性があります。
基礎ダイレクトジョイントは、基礎とアンカーボルトを、高い施工精度にてしっかり緊結することで、建物にかかる負荷を分散し、地震による強さを発揮する住まいを実現しています。
ボックスラーメン構造
セキスイハイムの「ボックスラーメン構造」とは、柱と梁を溶接で接合し一体化した構造のことです。
粘り強さと復元力の高さが特徴の鉄鋼素材を天井梁・柱材・床小梁・床梁に、さらにねじれの力に強さを発揮する角型鋼管を柱材に採用することで、たわみにくさを持つ天井と床を構成しています。
さらに柱と梁は高強度かつ精度の高い溶接方法である、コンピューター管理によるスポット溶接によって剛接合し、高強度ユニットを実現します。
高強度ユニットは上下左右をくみ上げて一体化し、上下ユニットをハイテンションボルトによる強い力で一体化させることで、地震の振動への強さを発揮する構造体をつくり上げています。
理念の違い

積水ハウスとセキスイハイムは、ハウスメーカーとして異なる理念を持っています。
積水ハウスとセキスイハイムが家づくりで重視しているポイントと深くかかわる、両者の理念をそれぞれ解説します。
積水ハウスのテーマは「幸せの追求」
積水ハウスは創業以来、企業理念として「人間愛」を根幹に、事業を通じて「お客様の幸せ」「社会の幸せ」「従業員の幸せ」の3つの幸せの追求と実現を事業テーマとしています。
創業からの幸せの追究を根幹とした高性能の住宅を通じた価値の提供を積み重ねてきたことに加えて、2022年には「良質な住宅ストックの形成」「持続可能な社会の実現」「ダイバーシティ&インクルージョン」を新たに特定。
これらをベースに先進的な価値の提供と、「わが家を世界一幸せな場所にする」というグローバルビジョンを掲げ、人生100年時代の幸せの実現に向けた事業展開を目指しています。
セキスイハイムのテーマは「地球環境にやさしく」
セキスイハイムの企業理念は「地球環境にやさしい家づくり」です。
人生100年時代を踏まえて、従来の立てて壊す住まいから、建てたあとはメンテナンスをしながら長く住み継げる高品質の住まいづくりを大切に行っています。
住まいの耐久性を高めるための構造や素材などを採用し、長期サポートシステムも提供されています。
ものづくりのサイクル全体では「3R」(Reduce:使用抑制、Reuse:再使用、Recycle:再資源化)を徹底し、事業活動によって発生した廃棄物すべてを資源として再利用する「ゼロエミッション活動」にも取り組んでいます。
たとえば、住宅としての役割を終えて、解体されたユニットを下取りし、工場で品質検査、防錆処理を経て、構造体としてリニューアルされます。
ほかにも、役目を終えた住宅展示場のモデルハウスをリモデルし住宅として販売したり、売却したあとも住まいの価値が持続する取り組みを行ったりしています。
どちらが高い?坪単価目安の違い
積水ハウスとセキスイハイムは、坪単価にも差があります。
積水ハウスとセキスイハイムの坪単価を比較して紹介します。
積水ハウスの坪単価
積水ハウスの坪単価の目安は、55〜120万円程度です。
30坪の住まいを積水ハウスで建てた場合の金額は、2,000〜3,600万円程度となります。
セキスイハイムの坪単価
セキスイハイムの坪単価の目安は、65〜105万円程度です。
30坪の住まいを積水ハウスで建てた場合の金額は、2,000〜3,200万円程度となります。
いずれの場合も、ハウスメーカーの中では高学層となります。
【豆知識】ハウスとハイムの違い
積水ハウスとセキスイハイムは、名前は似ていますが、違う会社です。
もともと母体は「積水化学工業株式会社」ですが、積水ハウスは積水化学工業からの独立企業です。
対して、セキスイハイムは積水化学工業が持つ住宅ブランドとなっています。
積水化学工業はもともと高機能のプラスチックの成形、開発メーカーでしたが、経済成長や時代の流れによって高機能プラスチックが住宅や環境・ライフライン分野までニーズが拡大します。
1960年3月に積水化学工業内にて、日本国内初のプレハブ住宅である「セキスイハウスA型」が誕生しました。
1960年8月には「積水ハウス産業株式会社」が積水科学工業から分離し、独立しています。
その後、現在の社名である積水ハウス株式会社へと変更され、累積建築戸数は世界トップの258万戸に達する大手ハウスメーカーに成長します。
セキスイハイムは、1969年に積水化学工業内に新たに設けられた、住宅事業推進本部から誕生しています。
工場生産率が80%を超えるユニット工法の「現代民家システム」による運用がスタートし、1970年8月には「セキスイハイム」として事業化が決定しました。
1970年10月に開催された「国際グッドリビングショー」では、セキスイハイムとして日本初のユニット住宅である「セキスイハイムM1」を発表しています。
会社が異なるため、住宅の方向性や重視しているポイントも両者に違いがあります。
たとえば住まいの基本的な作り方を見てみると、積水ハウスは軸組工法による柔軟性の高い現地施工を行っているのに対して、セキスイハイムは工場で80%ほど仕上げるユニット工法を採用しています。
積水ハウスとセキスイハイムの共通点

積水ハウスとセキスイハイムは異なる会社ですが、共通点もあります。
積水ハウスとセキスイハイムの共通点を順に解説します。
母体が積水化学工業株式会社
前述通り、積水ハウスとセキスイハイムともにルーツとなる企業は積水化学工業株式会社です。
ちなみに積水化学工業株式会社の母体は、かつて日本最大の化学企業グループであった「日本窒素肥料株式会社」であり、日本窒素肥料株式会社は旭化成ホームズの住宅ブランド「ヘーベルハウス」のルーツでもあります。
社章が同じ
積水ハウスとセキスイハイムの社章は同じです。
積水ハウスとセキスイハイムの社員は、同じ社章を身に着けています。
社章は創業時の積水産業の英語、「SekiSuiSangyo」に含まれる3つのS、さらに積水の「水」の漢字に由来するデザインを採用しています。
3つのSは、「Service・Speed・Superiority」の社是も表現しています。
「積水」の由来
「積水」とは中国最古の兵法書「孫子」の中にある言葉です。
積水には、「十分な準備を行って、貯めた多くの水を深い谷に落とすように、勢いをもって戦うことが大事である」という意味があります。
積水化学工業の母体である日本肥料株式会社は、かつて水力発電事業を展開していたため、「水をダムに蓄えて勢いよく落とす」ことが積水と水力発電に共通していたことで、母体の時代から社内で多く用いられていた言葉でした。
そのため、積水化学工業として分離するときに積水の名前が採用された、と言われています。
まだ家は建てるな!家づくりの順番を間違えて500万円損するところだった話

家づくりの記事を熱心に読んでくれてる人にだけ教えてあげたいことがあってさ。

なんでしょう?

2年前に注文住宅を買ったウチの姉ちゃんが「家づくりの順番を間違えて500万円損するところだった」って言ってたんだよね(※実話です)。

500万円の損失は痛いですね。
平均的な年収で1年働かないと得られない金額ですからね。

たしかに家づくりってトータルで何千万円の買い物だから、実際に「高級車1台分の失敗もある」って聞くと恐ろしくてさ。

逆に言うと、「家づくりの正しい手順」と「家づくりに役立つ制度」の2つさえ押さえておけば、失敗確率はゼロに近づけられますからね。
熱心にこの記事を読んでくださってる方には、家づくりで失敗してほしくないですね。

ウチの姉ちゃんは、契約直前に失敗に気づいてイチからやり直せたからよかったけどさ、気づかなかったら……

一年分の収入を失ってましたよね。


僕もこれから読みますね。

お前、読んでなかったのかよ!
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